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1999年6月10日

MAMA!

先日とある少女マンガ家のオフィシャルページを見ていたら、「今まで隠していたんですけど実はわたし、出産してたんです」という告白があった。
なんで既婚者なのに隠す必要があったのかと言うと、他の女性マンガ家が出産後に編集部から仕事をまったく回してもらえなくなった状況を見て、「自分は絶対秘密にしておかなきゃイカン!」と心に誓ったからだそうだ。
どうして本人が描きたがっているにも関わらず、出産した人には仕事を回さないのかと編集さんに遠回しに尋ねてみたところ、
「お母さんになった人に仕事をさせるわけにはいかない。子どもの方が大事なんだから」
という答えが返ってきたとか。だから、母親になったマンガ家は仕事から足を洗えと言いたいようです。


性差別というもののほとんどないと思っていた世界でも、やっぱりこういうことはあるんだよなあ。父親になった男性マンガ家に編集者がこんなこと言うか?言わんだろう。でもこういうことを言ってる本人はこれが差別だなんて夢にも思ってないんでしょーね。「思いやり」だと解釈しているに違いない。

もちろん、当の女性マンガ家自身が「仕事より子どもの方が大事。これからは母親としてだけ生きるわ」と思ってるなら確かにそれは思いやりと言えるのかもしれない。でもそうではなく、本人には仕事を続ける意志もバイタリティもあるのに、「あんたは母親なんだから(もう仕事する資格ないんだよ)。」と言って女性から仕事を取り上げるのだとしたら、それは差別であり、一方的な価値観の押しつけに他なりません。
その価値観とは、

四六時中子どもの側にいなければ子どもがかわいそう」→「母親は子どものためだけに生きるべきだ」→「女は母親となった以上、自分自身の人生などない

こんな感じのもんです。

  その編集さんが母親のあり方についてこういう考えを持ってるのは勝手だけど、それを他人に押しつけるのはやめろよな。仕事に生きがいを感じている女には死ねって言ってるようなもんだよ。

母親として一生を終えることで幸福を感じる人。社会の中で働き続けたりクリエイターとして活躍し、母としてよりまず一人の人間として生きたいと思う人。人間はそれぞれだし、どの生き方がいいとか悪いとかなんて誰にも言えることじゃない。

  こういう問題をよく「子どもがかわいそう」という観点から論じたがる人間もいるが、それもおかしな話だと思うね。炎天下の駐車場に車をとめ、2才の子どもをその中に何時間も放置したままパチンコに熱中して日射病で死なせる母親と、信頼できる人間に子どもを預けて仕事に精を出す母親とを、同じまな板の上に乗せて論じるなんてバカげている。

「子どもがかわいそう」という言葉の中には「母親のくせに子どもを放っておくなんて!」というニュアンスが含まれているが、子どもに対する責任を完全に放棄して遊びほうけることと、親の責任を自覚しつつも「一人の社会人として」仕事を続けて、結果的に子どもの側にいられないこととは、まったく次元が違う話でしょうが。そのへんどーも混同している人が多い。

  ちなみに言っておくけど、うちの母はわたしが子どもの頃からずーっと働くお母さんだった。今でもバリバリ現役の白衣の天使(薹は立ってるけど)。その体験をふまえた上ではっきり言えることは、四六時中母親がいっしょにいるかいないかなんてことは、さほど子どもにとって重要ではないってこと。問題は一緒にいる間の接しかたや愛情の示しかた、子どもに対する理解だ。身の回りの世話をするためにだけ母親が存在するってもんじゃないんだから。

 

でもまあ、さんまが大竹しのぶと離婚した時の記者会見観ててもつくづく思ったけど、「母親」とか「母性」に対して過剰な期待をしている人は多いよね。男に限らず女でも、「お母さんが家にいてあげないと子どもがかわいそうよ〜。」なんておためごかしにほざいてる人よくいるし。

さんまは会見の席で極力大竹しのぶの悪口は言わないようにしていたが、子どもが風邪をひいて熱を出した時、彼女が仕事を優先したことについて遠回しに非難していた。「オレゴンから愛なんて言ってないで我が子に愛をくれ」とかなんとか。

これが離婚の原因なんだとしたら、大竹しのぶというバリバリの現役女優と結婚した意味はなんだったんだろうね。

母親であろうともプロの女優であり、それでメシ食ってる以上は責任がある。彼女が仕事に穴をあければ大勢の人間が損害を被るのだ。それだけでなく、「やっぱり女は仕事に対する姿勢が甘い」という評価を下される危険性さえある。

「母親だったら子どもが熱出したら心配で仕事なんかしていられないはずだ」という決めつけがさんまの発言には感じられたけど、働いていて社会的責任があればそうそう私的な問題で仕事を休めないことぐらいわかるはずでしょうが。父親だって死ぬの生きるのって話じゃなければ、子どもが風邪ひいたぐらいで会社は休みゃーせんだろ。仕事を持つ母親だって事情はまったく同じだ。(とーぜん、病気の子どもを預けられる人間がいるという前提つきだけども。)

なのにどうも、母親がそういう冷静かつ合理的な行動を取ると、「冷たい女」「母親の情はないのか」という非論理的な非難を受けるきらいがあったりするんだよね。だからと言って逆に子どもを優先し過ぎると今度は、
女は母親になったらこれだ。仕事を甘く見るな」って言われるし。どーすりゃいいっての?ええ?

 

 

で、こういうことを考えているわたしはといえば、自分が万一母親になった場合どういう行動を取るのかまったく予測がつかない。子どもの頃は「子どもらしくない」と言われ、成人しちゃ「大人気ない。ちゅーか完全にガキ」と言われていることから鑑みるに、「母親らしい」母親にだけは絶対なれないことだけは保証するけども。←保証してどうする



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投稿者 : ナツ at 1999/06/10 | カテゴリー : ◆脳内物質
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