世の中にはおもしろい体験をしてる人がまだまだいますねえ。
というわけで、今回は匿名希望(で、いいんかいな)Bさんからホテルでの体験記をいただきました。
ホテルのフロント業務だの旅行の添乗員だの、日常から離れた精神状態の客の相手を次から次へとしなくてはならない、という仕事をしている人たちは、必然的に奇妙な方々に遭遇する確率が高くなるようですね。
今回もそういうわけで、彼の観察した不可思議な人に関するネタです。
私は大学入学当時からビジネスホテルでフロント業務のバイトをしていますが、やっぱり3年近くもやってると招かれざるお客様がときどき現れます。
ここ、1年くらい来るお客で小久保さん(仮名)と言うかたがいます。
小久保さんは予約の時は必ずお母さんが電話をしてきます。そして必ず始めは一泊の予約なんですが、ずるずると宿泊が延びます。それならば、こちらもお金になるからいいのですが、小久保さんは、何故かフロントに女性がいるときで無いとフロントに来ないのです。
たとえば、夜は男しかフロントにいなくて、深夜12時くらいに女性のフロントマネージャーと交代するのが私の所のシフトなんですが、小久保さんは部屋に戻ろうとフロントの前でカギを受け取る時は女性でないと、
「あれっ?おかしいなーまだ来てないな。もう一回見てこよう」
とか一人芝居(イッセー尾形か?)をして、また出ていってしまいます。
うちのホテルは3階がフロントで一階、二階には防犯カメラがあり、その状況が見られるんです。
カメラで見ると、一人芝居後、小久保さんは一階のエレベーターの前でずっと待ってるんです。女性フロントが交代するまで・・・2時間でも3時間でも。
それを見て俺が一階までジュース買いに行くフリして様子を見に行くとサッと物陰に隠れるんです。しかもバレバレなのに・・・へぼ探偵か?
そして、深夜に交代した頃に、さも今帰ってきたようにフロントに現れるんです。だから、見えてるって。カメラで!
そしてもっと怖いのが彼の食生活です。
午前中に小久保さんが出かけると、ハウスキーパーが部屋の掃除にはいります。そこにはいっつも生の魚介類のパックが散乱しているんです。たとえば、ボイル用海老とか書かれたスーパーのトレイがごみ箱に突っ込んであり、海老の尻尾とか頭が散乱しています。
部屋で海老食うのは小久保さんの勝手ですが、ボイル用の海老だぜ? あんた生で食ったんか?
基本的に彼の食生活は生食が多く、たまにコンビに弁当のパックが捨ててあると賞味期限が三日とか四日過ぎていることが多々あります。
どこから調達してんだよ。食料を!
そんな彼の部屋は、彼がチェックアウトした後は生臭く、しばらく匂いキープとして使用不能になります。
見かねた支配人がその旨を小久保さんに言い、「今後はお断りしますよ」と伝えたところ翌日お母さんがかちこんで来て、
「訴えますよ。宅の主人は弁護士ですから」
とおっしゃいました。こちらは部屋を綺麗に使ってくれと懇々と説明しましたが納得せず「いつか見てらっしゃい!」と毒づきまくって帰って行きました。
そんなことは忘れかけたころ、明らかに小久保母の声で(ざーます声でフロントの誰もが声を覚えていました)偽名を使って予約を入れてきました。もちろん、「満室いただいておりまして・・」とお断りいたしました。
ホテルっていろんなお客様が来ますね。そんなうちのホテルには去年の一月に市原悦子がきました。ちょっとうれしかった。生の家政婦。
◆ 管理人のコメント ◆
まさに、「この母にしてこの子あり」を地でいくような話ですね。
「宅の主人」だの「見てらっしゃい」だのという言葉を使う人種はスネ夫のママ以来絶滅したと思っていましたが、こんなところにまだ生き残りがいたんですね。たいへん貴重です。
今度は市原悦子さんがいらっしゃるときに、ぜひこの小久保さんにお泊まりいただいて、毎回部屋で一人で何をしているのかじっくり観察してもらうべきだと思います。
「実録!家政婦は見た」つーことで。
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