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2000年12月11日

妄想について

阿刀田高の「獅子王アレクサンドロス」を読了。アレキサンダー大王の物語なんだけど、読みやすくて面白かった。それ以外の感想はといえば、「あー、英雄になれるかなれないかって、自分の妄想をどれだけ多くの人間に信じさせられるかがカギなんだなあ」という感じ。


アレキサンダーがどんなに壮大な夢だか野望だか抱いていたとしても、たった一人ではなんにも実現できないわけだし、彼の見ている夢を全員に見せる力がなければ、どうにもならんわけで。つまりこの場合、たった10年あまりでギリシアからインドまで征服して大帝国を築き上げる、ということなんだけど。
だから実行力・統率力より何より英雄には、神懸かり的な力、自分の夢(誇大妄想)を大勢の人間に信じ込ませるシャーマニスティックな力が必要不可欠だな、と。(言い方を変えれば、その力がなかったら単なる誇大妄想狂で終わるってこと)
でなければ祖国にも帰れずいつ異国の地で屍を晒すかしれないような戦いをえんえん兵士たちに続けさせることはできなかったろう。客観的に見て、まるでレミングの行進だもんな。マケドニアからついて行った兵士たちのほとんどが故郷に帰れないまま異国の地で死んでったんだから。


反面、ユダヤ人を絶滅させ優良人種だけの第三帝国なんてものを築く妄想なんかを国中で見ちゃった日にゃ、大変なことになるけど。まー神国日本とか、現人神のもと竹槍持って全員玉砕とかいう妄想を全国民で見るつーのも相当イタイし。今もどこかでやばい夢見てるらしい国が確実にあるけど。早く醒めてくれ頼む。
 

なんてことを考えたのは、「世界はユダヤ資本に支配されている!」「各国の中枢は操られているのだ!」というお約束の書き込みつーかアジテーションを某掲示板で発見してしまったからで。うへえ。まだまだこの手の陰謀史観にはまっている人がいっぱいいるんですね。ちなみにレスのほとんどは、「だからさー、本当にユダヤ人が世界を支配してるなら、なんでユダヤ人の陰謀を暴露するような本が規制もされず出版されてんのよ?」「しかもこんなとこで陰謀について書き込まれてても妨害もないし(笑)」という具合だったけどね。冷静なときは人間、こんなヨタ話を信じたりしないんだよな。


しかしこういうたった一人の人間の頭の中で生まれた狂信的妄想が、大衆にまで拡大してしまうこともままあるわけで。どーせ見るならもっといい夢を見ましょうよお互いに。というのが結論なんですけどね。
 

「一人で見る夢はただの夢だけど、二人で見れば現実」 byオノ・ヨーコ。



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投稿者 : ナツ at 2000/12/11 | カテゴリー :
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