loading ...

2001年7月29日

真夜中の赤信号

人通りも車通りもない真夜中の横断歩道で、信号が赤だった場合。青になるまであなたは待つだろうか。
わたしは五分五分だ。待ったり待たなかったり。
待つ人と待たない人の数的比率も五分五分ってところらしい。


聞いた話では、こういう場合、バカ正直に青になるまで立ち止まって待つのは世界広しといえども日本人だけなんだそうだ。誰か一人でも他人が見ていると仮定するなら、「人からどう見られているか」ということを常に病的に気にする日本人特有の精神構造から起こる現象だと言えなくもないが、真夜中で人も車もいないのに、なぜ信号を守る必要があるのか。
それは、「『空(くう)』の意識」が働くためなのだという。


日本人は自分を客観視する傾向があるので、無意識のうちに自分を「その空間を占めている一部」と考えている。よって、その空間を乱さないために、「赤信号で歩行者が止まる」という「構図」を守ろうと、無意識に自分を律するのだそうだ。
わかったようなわからんような説明だ。単に何も考えてないからじゃねーの。『赤信号で止まる』って規範が染みついているだけのような気がするんだけど、「日本人には『空』の意識がある」とか理屈をくっつければ確かにかっこいいし、哲学的だね。ガイジンさんにこの非合理的な現象を説明しなければならん時はこっちでいこう。


しかし、わたしが真夜中の赤信号で止まるのは実はそんな理由からではない。


人気のない真夜中の横断歩道。近くにコンビニもなく、あたりはすっかり寝静まり、外灯だけが心細く道を照らしている。車も通りそうにないことに安心して、赤信号を無視して道路を渡りはじめる。突然、そこへ猛スピードで走ってくる一台の車。ブレーキが間に合うはずもなく、ライトに立ちすくんだ女を勢いに任せて数メートルも吹っ飛ばす。即死。車からこわごわと降りてきた10代の少年少女(飲酒運転)は、内臓と脳漿をまき散らし、ありうべからざる角度に折れ曲がった手足を投げ出して倒れている女を見下ろして、「やっべえ」「やっちまったよ」「いつかやると思ってたんだよな〜オレ」などとさざめいた挙げ句、「もう、どうせ死んでるし」「夜中だから誰も見てねーし」と顔を見合わせて、あっさりずらかることに決める。あわてて走り去るユーノス。深閑とした真夜中の車道に冷たく横たわる死体。外灯だけが無情に彼女の飛び出した眼球を照らしていた。
 ―――― 完 ――――


という妄想が止まらなくなり、立ち止まってるうちに信号が青になるんだよね。本当は、早朝に新聞配達の少年が第一発見者となり、あわてて側の公衆電話から通報して、かけつけた機動鑑識課の課員たちが、死んでるわたしのまわりを白いテープで囲ったり、車の塗料を採取したりするところまで話は続くんだけどさ。そうですか。もういいですか。葬式ソングは椎名林檎「真夜中は純潔」でお願いします。
放っておくとこういうろくでもない妄想ばかり量産しまくる脳味噌を持っているので、「真夜中なんだから車なんか通るはずはない」と無邪気に信じることなどできません。


ああ。妄想なんかして遊んでるヒマがない時はとっとと信号無視して渡るよ。当然でしょ。



余談。
先日の晩、狸小路(という札幌中心部のアーケード街)を歩いていたら、信号が赤になった。知らない人のために説明しておくと、狸小路は一丁目・二丁目〜と続いており、それぞれ横断歩道で結ばれている。
赤になったので当然みんな立ち止まり、信号が変わるのを待ったが、人通りも車通りも多いこのあたりにしてはめずらしく車がとぎれた。しかし動き出すものは誰もいない。
そこへ現れた一人の白人男性。我々の顔を不思議そうに見渡しながら、堂々と信号無視して横断歩道を渡っていく。
「日本人、ヴァカですカ〜? 車が来ないのにどうして立ち止まってますか〜? 頭悪いですね。私がお手本を示してあげますからついてきなさい。(日本語字幕:戸田奈津子)」
という表情をしくさっていた。
おまえは日本の『空』を知らんのか! 赤なんだから車が来なくても止まれや!!」と心で罵倒したことは言うまでもない。



 blogランキング参加中

投稿者 : ナツ at 2001/07/29 | カテゴリー : 心理
コメント

投稿者 : なめこ at 2006年8月 6日 15:41

面白いですね。外人。
でも、私はわたりますよ?赤で車がきてると舌打ちしたくなるくらい、渡ろうとしてます。
止まってるときもありますね。隣に誰かいるときとか。その人が渡ったら勿論私も渡りますケド、これってなんかの心理だったはず…ってんなこたぁどうでもいいんですけど。
私的には、車きてないのに止まってるなんて時間の無駄ですかね?
大体の車は音がきこえますし。


投稿者 : とろろ at 2006年8月 7日 23:16

最前列で待っていて、赤でも一歩踏み出すと、
左右の人も踏み出したりする。
これも空といえば空かな。(笑)
悪いことではないだろ。



コメントする


トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL: