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2001年9月25日

俺たちを天使と呼ぶな

俺たちを天使と呼ぶな 上
克本 かさね

人の身体に触れただけで相手の未来が読めてしまう高校生・木場と、眼を見つめるだけで他人の脳にアクセスして、自在に操ってしまう後輩・有働。二人の超能力者の確執を描いたサイコ・サスペンス。


他人の心の中に見境なく入り込み、危害を加え続ける有働をどうにかしなければと思う木場だが、有働に触っただけで血と暴力の未来を自動的に追体験させられてしまうので、関わりたくない気持ちと板挟みになり懊悩する。
「自称超能力者」たちが集うインターネットのあやしい掲示板で、「行商人」というHNの相手に、自分の超能力や有働のことについて相談する木場。(このへんの演出が現代風でうまいと思う。ネットにはよくあるよな。アングラオカルト)
この「行商人」というのも正体不明で、ただでさえ自分の力に苦しんでいる木場に、「彼を(有働を)野放しにするな」とけしかけたりする。いったい何物なのか。
有働に関わる謎のセーラー服美少女(こいつも念動力かなにか持っている)の目的も不明。
下巻が楽しみなところだ。


あ、ちなみにこれも、少女漫画だから。ちゃんと木場の幼なじみのかわいい女子高生も出てきて、話をかき回してるし。しかしこの人の絵は少女漫画としてはめずらしい絵柄かもしれない。細野不二彦の系統かな。しかも構図の取り方がすごく多角的なので、画面に奥行きを感じる。


余談だが、少女漫画と青・少年漫画を比べてみると、少女漫画家は空間認識がちゃんとできてない人が多いのがよくわかる。
たとえば、空き地か駐車場でケンカしてる男の子を、ビルの物陰からこっそり見ている女の子、というシーンがあったとする。
ケンカしている男の子の視点からでは容易に見えない位置に女の子はいて、しかも女の子の側からは男の子の姿が見える。
という状況に矛盾を生じさせないためには、頭の中に俯瞰図を描いて、駐車場の広さとビルの配置、女の子から男の子までの距離をだいたい把握してから描かなければならない。


そうしないと、いろんな角度からの構図を描いているうちに、位置関係がめちゃくちゃになるわけです。
少女マンガを読んでいると、「あんたらいったいどの位置に立ってるんだよ」と混乱させられることがままある。もっと遠い場所にいるもんだと思っていたら、一コマ前の構図よりどう考えても接近していたり、「その角度からではお互いの姿がまる見えだろーが。隠れてねえよ」としか思えない構図が出てきたりして。
しかし空間認識のできている人は、頭の中に俯瞰図があって、それを脳内でぐるぐるまわすことができる。したがってどの角度から描いても絶対矛盾が生じない。


こういうのは、女性に比べて明らかに男性の方が得意そうなんだけど、あれは無意識で描けちゃうんでしょうかね。なんにしても克本かさねは少女マンガ家としてはこのあたりうまい人なので、空間把握のダメなわたしとしては感心することしきりなのだった。



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投稿者 : ナツ at 2001/09/25 | カテゴリー : コミックス
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