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2002年8月20日

炎の蜃気楼

旅先や出先でも本を持っていきませんか。わたしは荷物が増えるの承知で必ず持っていく。読まないことも多いんだけど本が手元に一冊もないと心許ないというのはやっぱ強迫観念なんだろうか。
で、今、どこにでも持ってって時間さえあれば読みまくっているのが以前読んでみようかな〜と雑記にも書いた「炎の蜃気楼」(桑原水菜/コバルト文庫)。
いや〜、まだ途中だけど、はっきり言ってハマった。その前に読んでいた本(「海ふかく」W・H・ホジスン/アーカムハウス叢書)を途中で投げ出して読み耽っている始末。なにせ巻数が半端じゃないので(現在35巻まで出ている。以下続刊・・・だよな?)最初は尻込みしていたんだけど、ライトノベルは速読できるのが救いだ。


まず、1〜5巻までを読んでの印象は「少女小説が半村良と夢枕貘ごっこをしてるー」。しかし構成力はあって、伏線もけっこう丁寧に拾っていると思う。(もっとも、伏線拾いに終始して主要登場人物以外は書き割りっつーか話を進めるための捨て駒になっちゃってるとこが痛いんだけど)


5巻までは思いっきり伝奇サイキックアクションホラー・学園編だなあと思って読んでいたので、途中から様相が一変したのには、噂には聞いていたもののびっくりした。


「この変化が嫌だ」という人がけっこういるみたいなんだけど、伝奇サイキックアクションホラーが読みたければわたしなら半村良か夢枕貘か菊地秀行を読むので、むしろこのままその路線で進んでいたら読むのをやめただろう。コバルト系はもともと肌に合わないからいままでぜんぜん食指が動かなかったんだし。


おもしろいなーと思ったのはやっぱり高耶と直江の関係性で、描写がこの二人に及んだ時の作者の筆の乗り具合というより滑りっぷりがあぜんとするほどおもしろい。


この作者は本編の何十分の1程度の分量である、この二人の食うか食われるかの緊張した主従(恋愛)関係と、直江の妄執を書きたいがためにあまり書きたくもない(※主観です)伝奇サイキックアクションホラーの部分を延々と書きつづってるんじゃないかという気がする。
だって熱の入り方がぜんぜん違うんだもん。「ごっこだ」と書いたとおり、伝奇ものとしてはどうにもこうにも薄っぺらいもんな。
(特に、実質5巻に及ぶ「火輪の王国」編のつまらなさときたらあああもう・・・、もう少しで投げ出すところだった。ジュリア様だのヒムカの民だのの戦う理由もゆるいし説得力ないし生きてないし。戦闘シーンは特撮だし)



はっきり言ってこの恋愛描写の執拗さのせいで、主旋律である伝奇ホラーの部分がまったくどうでもよいものに見えてしまっている時点で、作品としては破綻しているっつーか、これからも崩壊の一途をたどるんではないかという予感がするんだけど、「いいじゃんそんなもん」と思えてしまうのは、わたしが伝奇ホラーをこの小説に求めていないからかもしれないけど、同時にこの作品のわけわからん迫力と熱、「この二人が書きたい!」という作者の執念にあてられているんだろうなあ。



しかしどーでもいいが。主要登場人物のだれもかれもが主役二人の関係に興味津々で、口出ししまくりの上詳しすぎというのはいかがなものか。「冥界上杉軍愛欲相関図・夜叉衆総大将と部下の危険な関係」とかいうゴシップ記事でも怨将たちの間に流布してるのか、2ち○んねるでスレッドでも立ってるんではないかという勢い。特に高坂弾正。他人の性生活に首をつっこむ癖はやめれ。


「主君を汚しているのは貴様だ。妄想の中で何度景虎(高耶)を汚した?」だの「もう景虎には触れたのか?」だの、会うたびに直江に絡みまくり。(なぜそんなことまで知ってるんだ。おまえは信玄とこの家臣だろ)


いや。きっと高坂は読者の一番気になるところを先に突っ込んでくれているのでしょう。気の回る奴だ。



あれ?なんかまた悪口ばかり書いてるよーな気が。これでもハマってるんですよまじで。涼しげな顔して鬼畜な言動をする直江には萌えた。またどっかで感想とか思い入れとか書くと思う。
あ、やおい耐性のない人は読まない方がいい本です。わたしの場合、高耶がもっと女女してる姫君キャラだったら気味悪くなって読まなかったと思うんだけど、というかかのグイ○・サー○はそれで読めないよーなもんだけど、この小説に関しては平気だったわ。


(しかしこれがコバルトレーベルだっつーのには、かなり驚いたな・・・。学校の図書館にあるべき少女小説の代名詞コバルトも今は昔なのね)



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投稿者 : ナツ at 2002/08/20 | カテゴリー :
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