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2003年9月 2日

ミュンヒハウゼン症候群

インターネット時代のニセ患者

『ミュンヒハウゼン症候群』という精神疾患がある。「病気のふりをしたり、病状を大げさに言ったり、自らわざと病気にかかったり」といった心の病で、医者や周囲の人間の関心を得るために自らの体を傷つけることも厭わない。別名『病院めぐり症候群(ホスピタルホッパー)』という。


『代理ミュンヒハウゼン症候群』はこれよりもっと深刻で、自分の子供を虐待して病気や怪我を負わせ、献身的に看護する姿を周囲にアピールして人の同情や関心を得ようとする。

こういう人々は昔から存在したわけだけど、近年はインターネットでこうした患者が増えている、というのが上記のコラムである。なにせオンラインの詐病は、実際に医者に行かなくてもいいし、自分を傷つけなくても済むから嘘がつきやすくてお手軽なわけね。

これはアメリカの話だけど日本にも同じ病の人はいるらしい。白血病の闘病日記をサイトで公開していて、とうとう亡くなってしまった人がいるんだけど、本職のお医者さんが治療法や薬の種類などを検証してみると記述にいろいろと矛盾が出て来た。で、「あれは作り話ではないか」「死んだというのもウソではないか」という真贋論争が巻き起こっているとか。

(「生きている」うちはみんな黙ってたのかねやっぱり)

本気で心配し、心から寄せた同情心を踏みにじられたら、確かに怒りは大きいだろう。わたしだったら怒るだけ怒った後はたぶんとっとと忘れるだろうけど。しかし、そんな軽い問題ではないのだとフェルドマン博士(って誰だよ)はいきまいている。

周りからは『気づかないなんてバカだ』と言われたり、感情を無視して『全財産を持って行かれなかっただけよかったじゃないか』と言われたりする。感情的なレイプを受けたままになり、誰もそれを癒そうとはしてくれない」


・・・「ミュンヒハウゼン症候群」の患者も治療しなければならないが、「ミュンヒハウゼン症候群の患者に騙されて精神的外傷を負った人」も癒さなければならないわけだ。病気の人が増えるばかりで大変である。オンラインで見知らぬ人にそこまで思い入れたことがないので、わたしにはピンと来ないが。

とはいうものの、他人の純粋な善意を搾取するというのは考えてみれば金銭を搾取するより極悪非道な行為と言えるかもしれない。金銭と違って、どの程度「純粋な善意」を相手に注いだかが客観的に証明できないので罪にならないわけだけど。

他人の関心を買うにしても、「自分は○×大学を出たエリートサラリーマンだ」「有名人と知り合いだ」などという虚言癖によるものは他人より優位に立って羨望を集めようという心理から来るものであり、「強者の虚言」と言える。

ミュンヒハウゼン症の場合は逆に、大変な難病に冒されている自分をアピールして「同情や愛情や庇護」を得ることから、「弱者の虚言」と言えるだろう。要求する関心の種類が微妙に違うのだ。

なんていつものクセでもっともらしく分類してみたが、コラムによれば、この手の人は「病気と闘っている精神力を賞賛されること」にも満足感を得ているらしい。つまり、「普通の人にはあずかり知らぬ苦痛に耐えている」というだけであたかも十字架を背負ったキリストのごとく聖別され、心理的に優位に立てるというわけね。

なんか奥が深すぎて言葉もありません。


ちなみに、このコラムでは最後に痛烈な皮肉が書かれている。

『オンラインであれオフラインであれ、ミュンヒハウゼン症候群が抱えるパラドックスは、ミュンヒハウゼン症候群だという診断を受けた人が、自分が本物の心理障害にかかっていることを知っても喜ばないことだ。これは、社会が精神的な病を不名誉なものと考えているためだ』とフェルドマン博士は言う。


『あなたは確かに、自分でも考えているとおり重い病気を抱えていて、専門家による治療が必要だ。肉体ではなく精神の病気で、精神科の医師が治療してくれますよ』と言うと、たいていの患者は、冗談じゃない、という顔をするのだ。


詐病してるくせに本当に病気だと言われたら怒り出すわけか。わがままなやつらだなあ。

あーしかし言いたい。言いたくてたまらない。「あなたは白血病でも癌でも筋ジストロフィーでもありません。ミュンヒハウゼン症候群という“ウソつき病”です。体じゃなくて頭の方が問題があるんです。おめでとうございます本当に病気でよかったですね!これでウソつきじゃなくなるんですよ!
・・・うれしくないのかなあ。やっぱり。

しかし、「ミュンヒハウゼン症候群闘病日記〜私は病気に負けない」
「○月×日 今日もネットで白血病だと嘘をついてしまった。みんな本気にして涙ぐんでいるようだ。他人の同情は気持ちがいい。私も人を騙したくなんかないんだけど病気だから仕方ないんです」

なんて闘病サイトを作っても、誰も同情はしてくれないだろうけども。確かに。



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投稿者 : ナツ at 2003/09/02 | カテゴリー : 心理
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