水曜深夜フジテレビにて放送中
舞台は江戸時代(たぶん)。なのに冒頭でいきなり、「この物語はフィクションです。実際の歴史とは異なる部分もありますが、ガタガタ言うな黙って見やがれ」と釘を刺される。
と思ったらメインキャラの一人、浪人のジンはメガネのパリ・ミキで買ったんですか?と聞きたくなるような今風の眼鏡をかけ、無宿人のムゲンはピアスをし、茶屋の娘・フウは着物の着方がわからないガイジンのような変な帯の結び方をして、ネイルアートまでしている。(爪がアップになったらピンクの地に白で花模様が描いてあるのだ。細かすぎ)
つまりこれは、なんちゃって時代劇である。
時代劇のお約束、悪徳代官も出てくれば、「お代官様〜!かんべんしてくだせえ!」も出てくるが、あとはでたらめ。茶屋で我が物顔にふるまっている代官の息子の取り巻きが、「おニューよおニュー」などと刀を見せびらかしたかと思えば、代官の息子なんかピアスにパツキンだ。
はなはだしきはムゲンのブレイクダンス剣法。正統派剣法を学んだと思われるジンに「無駄な動きが多すぎる」と評されたほど、ヘッドスピンなんかのワザまで使って踊るように敵を斬り、攻撃をかわす。おまえらもう少し時代劇らしくしろよと言いたくなる。
しかしまー監督がカウボーイ・ビバップの渡辺信一郎だけあって、この殺陣の動きがすばらしい。さすがはナベシンだと第一話には大いに満足し、第五話まで見続けてきたんだけど・・・。
話が一向に進まねー。
「ひまわりの匂いのするお侍さんを探してほしいの」とナゾの要請をするフウの願いを聞き、男二人女一人の珍道中が始まったはいいものの、肝心の「ひまわりの匂いのする侍」にはその後まったく言及がないまま、その場その場で悪者を斬っていく水戸黄門状態に突入。
水戸黄門くらいに主要キャラが完全に固まっていて、お約束の印籠が待ち望まれてる状態なら格別、ムゲンとジンの性格や動機付けや背景が全然見えてこないまま斬った張っただけ続けても爽快感はない。
おまけに悪者と対決する各々のエピソードでは、その場限りのサブキャラばっかり目立っちゃって、三人の関係性の発展につながるような話にはなってない。おたがい全然感情的交流がないのに第四話では、ムゲンが一度は見捨てようとしたフウを救いに女郎屋へ戻ったりして、非常に唐突な感じがした。そんなキャラには見えないからだ。
これは脚本の重大な欠陥なんじゃないか。
フウの乳揺れシーンとか(実際には懐に入れていた花火玉が揺れていたんだけど)、ジンの入浴シーンとか(腐女子向けか?)、いらんサービスシーンに力を入れるより、三人の性格付けをしっかりやってほしいもんだ。「オシャレ今風時代劇」でした、ちゃんちゃんで終わるような、そんなアニメのはずはないだろう、だってあの渡辺信一郎なんだから!
などとビバップ信者としては期待が大きいだけに文句たらたらなわけですが。
それはともかくとして、海外のアニメファンの反応はどうだろうと思い、北米のアニメフォーラムをのぞいてみることにした。
(注:現在、日本でTV放映されているアニメは放送の翌日にはネット上で流され、海外ファンがダイレクトに手に入れられるという状態になっている。放送直後に出回っているものはオリジナル版だが、数日もすればfansub(ファンが作った英字幕つきバージョンのアニメ)が出回り、日本語を解さない多くのファンはこの恩恵にあずかっている。
各国語に翻訳する海外アニメファンの無償有志団体、fansubグループの隆盛と、それによるfansubのネット上における爆発的普及によって、海外の日本アニメ市場は急速に広まったと言われている。著作権にひっかかるとはいえ宣伝効果があるのも確かな話なので、アニメ業界も今は見逃す方針だが、今後どういう状況になるかはわからないとか。)
某fansubグループのフォーラムに飛んでみると、cool(カッコイイ)とかgreat(スゲエ)とかawesome(ぶっ飛ぶぜ)とかいう感想ばかりで、あまり冷静な批評は見られない。watanabe信者は北米でも多いのである。
そうかと思えばジンはステキ。ジンの赤ちゃんを産みたいとか書いてるファンもいて、どこのオタクも同じだ地球はひとつだとしみじみする。(向こうではオタク少女のことをそのものずばりfangirlと呼んでいる。)
オタク少年の方はどうかというと、「ムゲンとジン、どちらが強いか」という話で盛り上がってたりして面白い。
「ちゃんと剣法を学んだ正統派のジンの方が強いに決まってる。現にムゲンのことを、『無駄な動きが多すぎる。構えもなってない』と評していたからね」
という意見があれば、
「ムゲンの動きはジンにとって予測不可能なんだよ。メチャクチャな我流剣法だからこそ、正統派のジンには立ち合いにくい相手なんだ。俺はムゲンが強いと思うね」
と大真面目な反論があったりもする。(わたしの英語力では正確ではないが)
日本だったらフウに萌えるか萌えないかという話一色になりそうなところ、萌え話はないとは言わないまでも、かなり少ないところが日米アニメファンの違いかもしれない。
ついでに、「ムゲンのseiyuu(声優)ってワンピースのゾロと同じじゃない?私には同じ声に聞こえるんだけど?」「そのとおり。Nakai Kazuya(中井和哉)です」というやりとりを見て、そういえばどこかで聞いたことのある声だったとはじめて思い当たる。声優のチェックまで怠らないところがさすがだ。
という感じで概して手放しのベタぼめ状態。厳しいご意見は見あたらない。
るろうに剣心や獣兵衛忍風帖が人気なだけに、やはり欧米においてはニンジャ・サムライものは無条件で強いのか? なんだか点が甘すぎて納得がいかないぞ。
・・・と思ったところで次回に続くのだった。
(→海外ファンによるチャンプルー評へ)
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