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2004年12月 7日

シークレット・ウィンドウ

0e70a3a8b6e6c99f934e2c074c55985c_s.jpg● シークレット・ウィンドウ (★★☆☆☆)
監督 デヴィッド・コープ
原作 スティーヴン・キング
出演 ジョニー・デップ
ジョン・タトゥーロ


妻と別居中の売れっ子作家モートが、シューターと名乗る謎の男から盗作疑惑をかけられる。最初はその訴えを軽くあしらうモートだったが、周囲で不可解な事件が続発し、精神的に追い詰められていく。

モート役のジョニー・デップは周りにファンも多く、自分も結構好きな俳優の一人ではあるけど夢中になるほどではない。ちょっと線が細いからだろうか。
わたしは昔のブラピのような「でっかい子犬」みたいなタイプの方が好きなのだ。好奇心と「人間大好き」って表情にあふれた大型犬。(の役が似合う俳優、と言ってもいいが。同じ理由で若い頃のハリソン・フォードも好き)



それに比べてジョニデは猫科である。どこか神経質そうでいつも疲れた雰囲気なのだ。そういう役が多いからかもしれないけど。そこがアンニュイなフェロモンを漂わせているわけだが、今回はアンニュイどころか本当に落ちぶれたダメ男の役で、見てるだけでテンション低くなる。
ボサボサのままの褪せた金髪にヒゲ、眼鏡。破れたガウンは、彼をおいて家を出て行った元妻の置きみやげ。
あれだけイイ男がアル中引きこもりやさぐれ中年作家を見事に演じている演技力はすごいと思うがあまりほめたくない。そんなもんを見事に演じられてもやるせないだけだ。



しょっぱなからジョニデのことにばかり言及しているのはぶっちゃけ内容に見るべきところがなかったからである。キング原作の映画化はあまりに多すぎて出来不出来があるのは承知してるけど、これはかなりつまらない部類に入る。
テーマ的には「ミザリー」に近いと思うんだけど、あれのショッキング性、サイコ女アニー役のキャシー・ベイツの薄気味の悪さに比べればジョン・タトゥーロも迫力不足は否めない。
(これは演技力だけではなく、無害そうな冴えない中年女から一転して作家を監禁して自分のために小説を書かせる電波女になる、という落差が「ミザリー」にはあって「シークレット」にはない、ということも関係している)



(以下ネタバレ注意)
モートの元妻・エイミーは、モートを振って新しい恋人のテッド(ティモシー・ハットン)と暮らしている。
が、しかし「こんな男ならアル中でもモートの方がまだましじゃん。腐ってもジョニー・デップじゃん」と思わせてしまう時点で配役ミスなんではないのか。まあ、原作読んでないから、原作通りなら仕方ないんだけども。
原作者のキング自身が何度禁酒しても酒をやめられずアル中で身も心もボロボロになり、しまいには愛妻に「酒をやめなければ別れる」と最後通告を出され、ようやっと立ち直ったというエピソードがあるので、この話は「酒をやめられなかった自分の末路」というパラレルワールドなんだろう。
そう思って観てみるとけっこう面白い。エイミーにもキングの愛妻タビサを投影しているとすれば、当然、エイミーの間男であるテッドをハンサムな好漢に描くことにはキングの立場としては抵抗があるだろう。アル中で愛想を尽かされていた時代、タビサに浮気された過去がもしもあるならなおのこと。

つーか、そんな下世話な想像でもしない限りつまんなくて観てらんないのよ。途中でネタは思いっきり割れるし。なんでも「アル中の妄想と幻覚でした」ってオチにするのはどうなの。(あー書いちゃった。)



冒頭で、タトゥーロ演じるストーカーのジョン・シューターが「お前俺の小説を盗作しただろ」と現れた時は、ネットにもよくいる「俺の作詞作曲した歌謡曲が盗作されている」と訴える類の電波を思い出して、どういう展開になるのかとわくわくしたが、これが主人公モートの分裂した人格で、彼との間に起こった事件は全部酒から来る妄想だったって安直に過ぎるだろ。
この原作が書かれたのがいつなのかは知らないけど、現代情勢に合わせて脚本を焼き直ししたらもう少し面白い話になったんじゃないの。
だってホントすごいよ、ネットで盗作を訴える人のページって。あれは統合失調症だと推測するんだけど、要は外界から聞こえてくる情報と、脳内で生み出された純粋な自分の考えとの区別がつかなくなるのが典型的な症状らしいんだよねってことは前にも書いたけど。
だから繰り返し同じ歌をTVやラジオで聴かされていると、それがずっと前から自分の頭の中にあった歌だ→小学生くらいからずっと口ずさんでいた気がする→それを小耳にはさんだ○○が勝手に盗作した、というような思い込みにシフトしていくという。
シューターがその手の電波で、モートははじめは馬鹿馬鹿しいと一蹴しているのに、つきまとわれるうちに次第に相手の妄想に巻き込まれ、自他の境界がわからなくなる、という展開にした方がまだ面白くなる余地があったような気がする。どっちにしても使い古されたストーリーだけども。



まあ「ミザリー」にしてからが、ストーカー読者につきまとわれて気味の悪い思いをした実体験が元になっているというから(そのストーカーファンとは後にジョン・レノンにもつきまとい、彼を撃ち殺してしまったマーク・チャプマンだそうな)、偏執狂的な読者というのはキングのトラウマであり何度書いても書き足りないのだろうし、本人は「電波ファン」が出て来るだけで充分怖いので、それ以上複雑に話をひねる必然性を感じないのかもしれないが、今回はその「電波ファン」すら主人公の妄想だったわけだしなー。何を怖がればいいのか観てる方はよくわかんないわけで。
妻を寝取られたアル中の男の逆恨みは恐ろしいってこと? 恐ろしいっていうより情けないだけなんだが・・・。
面白いオチを思いつくまでキングには「電波ファンネタ禁止」を通告したい。



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投稿者 : ナツ at 2004/12/07 | カテゴリー : 映画
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