momokoを着替えさせて変身させようシリーズ第二弾。(第一弾はこちら。)今回は、「仔犬と一緒」をカスタマイズしてみました。
とりあえず着替えの前にデフォルト衣装のまま撮影。
こんな感じの子です。

右肩にかけたキャリーバッグには仔犬が入ってるんだけど、デフォルトの犬は犬だかウサギだかわからない得体の知れない動物で、しかもかわいくない。仕方がないのでガチャガチャのチワワを代わりに入れて飾ることにした。

左がガチャガチャに入っていたチワワ。右がもともとドールに付いてた犬。どこが犬なんだよ。
で、この子がどう変わったかというと。こうなりました。

迎えに来るの〜迎えに来るのね〜♪・・・というわけで、見た瞬間にピンと来た人もいるかと思いますが。そーですあれです。「赤毛のアン」。
ドールいじりをしてると心理的に子ども時代に戻ってしまうのか、その頃に大好きでむさぼるように読んでいた本のヒロインにカスタマイズしたくなる傾向があるらしい。不思議の国のアリスとか、今回のアンとかね。
一番赤毛に近かったのがこの「仔犬と一緒」のmomokoだったので、まず髪をなんとか三つ編みにした。本当は2本のおさげにすべきなんだけど、わたしは不器用なのでそんな細かい作業はできない。(1本でもあまりうまく編めなかった。人間の髪と違うし)
ジェニー用の古風なメイド服から、ヒラヒラのエプロンと襟元の真っ赤なリボンを取ってしまうと、ただの黒いワンピースになった。これにバービーの麦わら帽子、黒い編み上げブーツ、キャメルのトランク(アゾン製)を合わせてみると、なんとかそれらしく見えるではないか。そばかすがあったら完璧だったな。

駅のホームでマシュウをじっと待っているアン、という設定。
このあとに「自分は男の子でないから、望まれた子どもではなかったんだ」ということが判明して大泣きするんだよなあ・・・あれは子供心にもものすごく痛いエピソードだった。
ドール用トランクはちゃんとベルトを外して中を開けられるようになっている。ちょっとした小物も入るぞ。
実は、アゾン製のこのトランクを見てとっさに「赤毛のアン」を連想し、アンを作りたくなって買ったのだった。
本を読み返すと、アンがグリーン・ゲイブルズにやって来た時の服装は、「黄色がかった灰色の交ぜ織りの服」に「地味な茶色の水兵帽」となっている。そんな複雑なアウトフィットは用意できないのでジェニーのメイド服にしたんだけど、よく見るとこの黒いワンピは「パフスリーブ」ではないか。アンがあれほどまでにこだわり、「一度でいいから着てみたい」と望んでいた「パフスリーブ(ふくらんだ袖)」。
当時の女の子の流行ファッションだったのだけど、孤児のアンは孤児院のお仕着せのボロい服しか着たことがなかったんだよね。マシュウとマリラに引き取られてからもパフスリーブの服にこだわり続け、ある日、とうとうふくらんだ袖のきれいなドレスを仕立ててもらって大喜びする。
いつの時代も女の子は変わらないなあ、と思えるかわいらしいエピソード。
だからグリーン・ゲイブルズに来る前にアンがパフスリーブの服を着てるのはおかしいよなーと、また変な所に一人でこだわっているわたしであった。
ついでにこんな写真も撮ってしまう。
偽アンと偽ギルバート。なんちって。

ギルバート役はボークスの「ベンジャミン」という青年ドール。何かこの写真で見ると、まだ仲直りしていない時期のようですね。むりやり隣同士座らされましたって感じでぎこちない。
ギルバートは、「あ〜失敗したよなあ・・・どうやって謝れば許してもらえるんだろ」とへこんでいる様子。
そりゃあんたが悪いわ。気になる女の子に意地悪するのは幼稚な男の子の常とは申しますが。アンのように、自意識過剰で自尊心が強いくせに、それとは裏腹にコンプレックスも強い女の子の一番痛いところを突いてしまっては、「この男は敵だ」という確固たる認識を植え付けるだけで、ここから関係を改善するには並大抵の努力ではききません。
でもギルバートは、「石板叩きつけられ事件」の直後に自分がアンを傷つけてしまったということを悟り、ちゃんと謝ってるんだよね。
「これくらいのことで暴力に訴えやがって、このアマ」などと決して責任転嫁しない。謝らずになあなあで済ませようという卑怯さもない。しかもその後も、「絶対に許さない」と頑として決心を揺るがせないアンを相手に、何度もまじめに謝り続ける。
「もういーかげんにしとけや。そのくらいで許したれよアン」と負けず劣らず頑固なわたしですら思ったよ。
そうこうするうちに、さすがのギルバートもブチ切れて、「わかったよ!勝手にしろ!」とか言って関係修復を放棄してしまう。
その後でやっとアンときたら、「やっぱり許してあげればよかったかな・・・」とか後悔してやんの。バーカバーカ。
ああでも本当にわかりすぎるほどわかるその展開。ふつうはそれっきり絶縁して終わりますが。この二人は和解するし、のちに結婚もするんだよね。物語っていいよねハッピーエンドで。(遠い目)
二人が和解するにはそれからかなりの時間を経なければならないのだった。
でも、その間もギルバートは、アンが髪に挿したバラが落ちたのをサッと拾ってポケットに入れて持ち帰ったり、「ライン河畔のビンゲン」という詩を暗誦した時に、「今一人あり、そは妹にあらず」と言いながらアンをじっと見つめたりする。さりげなく必死にアピールして、けなげでかわいいのだ。
(ちなみにアンはギルバートの暗誦している間は、わざと本を読みふけって一度も彼の方を見なかった。おまえって女は・・・。)
さすがモンゴメリは女性作家だけあって、魅力的にギルバートを描いている。でもハーレクイン系のラブロマンス小説では、書き手が女性でも薄っぺらくてどうしようもないただの「色男」が理想の男性として登場してたりするので、「女性作家だから」でくくるのは乱暴かもしれない。
まあわたしの趣味には合ってるってとこかな。(だってけなげでいじらしいもんギルバート。)
モンゴメリという人は、1800年代終わり〜1900年代初頭の、婦人参政権もない時代に生まれ育った。「女には高等教育など必要ない。こざかしい女など男の邪魔になるだけだ」的な父親やら周囲の無理解に苦労して生きた女性らしい。
彼女の描くアンのように自我が強く頭のいい、生き生きとした少女であったとすれば、そういう抑圧的な環境には他の女性の何倍も苦しんだに違いない。
その容赦ない現実の反動なのか、「アン」の世界では、アンはギルバートと対等に学校の成績を争うライバル関係にあるし、育ての親のマシュウもマリラも、「女の子でも一人で生きていけるように教養や資格を身につけるべきだ」という教育方針を持っている。
ギルバートは、たとえ冷戦の最中でも、「女のくせに出しゃばるな」とか、「女に負けたら恥だ」という態度を示したことは一度もなく、対等なライバルとしてアンが存在することを喜んでいる。
(また、彼はアンのそういう負けず嫌いなところが好きらしい。)
ルビイという女の子がギルバートに対して、「彼はハンサムだけど、難しい話ばかりするのでいっしょにいると退屈だわ」みたいな評価をしたことがある。アンは彼女の話を聞いて、ギルバートと本の話や将来の野心の話ができたら楽しいだろうなあと考える。
「ルビイってギルバートの好みじゃないと思う」というジェインの言葉に、(あたしもそう思う)とも考えている。(おまえが許してやらんかったから友達になれねーんじゃねーか。)
こんな風にギルバートは、「かわいらしく素直な女の子らしい女の子」より、「対等に話ができ、男同士の親友のような関係になれる女の子」を求めている男の子として描かれている。これはモンゴメリの理想でもあったんだろう。1900年代初頭じゃ、そんな男は砂漠の中の金のように貴重な存在だったろうしなあ。
男性の「赤毛のアン」シリーズに関する感想を読むと、アンに対する評価が分かれていたりして面白い。
ギルバートに感情移入して、「アンのような女の子が好きだ」という人もいれば、「頑固でおしゃべりなウザい電波女。彼女を好きになれないタイプの人には、あまり面白くない本だと思う。」みたいな容赦ない評を下している人もいる。
・・・電波・・・。まあ確かに、元祖不思議ちゃんだもんな。想像力がたくましすぎて妄想の域にまで突入することがあるし。
(モンゴメリは、最初のうちは欠点だらけのみっともない娘としていたアンが、成長するにつれてすばらしく美しくなったように描き、男にもモテモテにさせている。なんかここまでくると変わり果ててしまって嘘くさい。
確かに、ハイティーンになり女性ホルモンがガンガン出る頃になると、ハッとするほど女の子は変わることがありますがー。ギルバートだけがその美しさに気づいている、としたほうがよかったんじゃないの? ここらへんもモンゴメリの願望なんだろうか。)
そして、「赤毛のアン」に続く「アンの青春」「アンの愛情」などで、アンとギルバートは親友から恋人へと関係を変化させていくわけですが。
アンは何つーか、奥手で自分の気持ちにすら気が付かないような、恋愛方面に関して鈍い子なので、そこまでもっていくのにギルバートはメチャクチャな苦労をすることになる。
(彼はもう最初からアン一筋なんだよね。あんまりアンが煮え切らないので他の女の子ともつきあったりしてみるが、やっぱりアンでなくちゃダメだと思い知らされるばかりで振り出しに戻ってしまう。この一途さが女性読者のハートをわしづかみである。)
ギルバートはアンに2回もプロポーズをしている。
1回目は、友達としか思えない、と引いてるアンに、「僕はもう耐えられない。僕の欲しいのは君の友情じゃなくて愛なんだよ!」と切々と訴えるのだが失敗。わかる。わかるぞその辛い気持ち。「だっていい友達だと思ってるし・・・」とか言われても嬉しくないよな。やらせろってはっきり言わないだけでもう限界だよな。まあとにかくこれで振られたあとギルバートはヤケになってクリステンという美人と付き合ったりするのだが、アンも他の男と急接近している。んでおたがい嫉妬して辛い思いをしてるのだ。
すれ違う二人。これも青春。
普通は一回振られたら諦めてしまうが(特に男は)、子どもの頃からアンじゃなくちゃヤダヤダというギルバートはクリステンなんかダメだとはっきり悟ったのか、2回目のプロポーズをする。
「僕には夢があるんだ。現実にならないような気もしたけど、それでも夢見ずにはいられない。暖炉があたたかく燃え、猫や犬や友達がいて、そして君のいる家。それが夢なんだ」
小坂明子のパクリか?(http://momo-mid.com/mu_title/anata.htm)
まあギルバートも前回の失敗から必死に対策を練ったんだろう。1回目のプロポーズと比べてみればよくわかる。
前の時は、「自分が」アンを欲しい、ということを強調してしまい、結果的にそれが奥手のアンをビビらせてしまった(多分)のだが、今度はアンの欲しいモノを鼻先にぶら下げたんだね。
孤児として育ち、のちに得たグリーン・ゲイブルズという「家」を守るために進学まで諦めたアンが一番望んでいるものは、何よりもまず温かい家庭。
好きな相手の欲しいものをしっかりと把握したプロポーズ。これがみごとに女心にヒットするのだった。策士め。
プロポーズの前にもギルバートはかなりいろいろとかわいそうな目に遭っているのだが、それでもアンを愛し続ける一途な男なのだ。萌える。
2回もプロポーズの言葉を聞き、しかもそれぞれ違う方法でギルバートに愛を請わせているアンは相当な欲ばりかもしれない。(つーか欲ばりはモンゴメリか。)
赤毛のアン
L.M.モンゴメリー
講談社 2005-04
売り上げランキング : 2,964
Amazonで詳しく見る
blogランキング参加中ナツさん、お久しぶりです。
久々に 「ナツ節」 な文章を堪能しました。
ぃやー、相変わらず面白かった♪
(-人-) ゴチソーサマー
ナツさんはギル萌えなんですね。
私は、アンに振られちゃった貴公子風の人の
情けない感じとか割と好きでしたw
アンシリーズは、後半ろくに読んでないんですが、
もう一度読みたくなったな…。
シリーズの最初しか読んでいないのですが、
この記事を読んで、全冊揃えたくなりました。
この世に“アン派”と、“アンチ・アン派”の男がいるとすれば
自分はアン派だと思う。
親しくはなりたい。
しかし。うかつにちょっかいをかけると怒らせる……。
ネコみたいな女の子ですね。
そこが魅力でしょうか。
● しおさん
>ナツさんはギル萌えなんですね。
仲直りしてからはひたむきな好意を隠さないし、なんだかんだいってアンの一番の理解者でもある。アニメ版のギルは少年時代だったせいかもっと憎たらしい感じだった気がするんですが、原作を読むと一途な男心に惚れ直します。
アニメを観ていた時は、「ギルバート死ねむかつくこの男」と思っていた記憶があるな。←アンと同じで単純
>私は、アンに振られちゃった貴公子風の人の
>情けない感じとか割と好きでしたw
ロイ・ガードナーですね。アンは昔、「上品で憂鬱そうな男性がタイプ♪ギルバートはちょっと違うのよねー」みたいなことを思ってましたね。一度はハマるんだよね女の子は。ミステリアスな男の魅力っつーんですか?(期待するほどの中味はないのにね〜)
そんなアンの理想どおりの男がロイだったので一度はよろめく(死語)んですが、「やっぱりギルバートの方が好き。だってこの人ボケもツッコミも理解できなくてつまんないんだもん(完全意訳)」とか言って振っちゃう。
おまえなー。上品で憂鬱そうでギャグセンスまである男がいるかよ。無茶言うな。
●tetsuさん
tetsuさんはアン派ですか。想像力がたくましいところと自意識過剰で意地っぱりなところは、子供心に共感しながら読んでましたが、「アンうざい。電波女」と評していた人の方が真っ当な感性かもしれない。ギルバートって相当な物好きですよ。普通の男ならルビイとかクリスチンとか選んでるよなー。
>しかし。うかつにちょっかいをかけると怒らせる……。
ちょっかいをかけて怒らせた経験が?(戸田奈津子風問いかけ)
わたしの経験から申しますとー、アンタイプの女の子は人見知りが激しいので、信頼関係を構築する前にケンカしてしまうと、その後親しくなるのは至難の業です。少女マンガでは「ケンカしながら仲良くなっていく」なんてのがありますが、あれはわたし的には理解できないシチュですね。信頼関係を築いてからならちょっとくらいケンカしても信頼はゆらぎませんが、信頼してもいない相手に嫌なことばかり言われて親しくなれるなんて有り得ねーと思う。「こいつ嫌い」と思ったら心を開かなくなるですよ。失地回復にはギルみたいにゴメンナサイ攻撃ぐらいしかないのでは。
(でもこの手の子は、傷ついたということすらプライドが高すぎて隠してしまうので、何を謝ればいいかもわからなくなるという)
少女マンガではそんなムカつく男がおばあさんの荷物を持ってやったり子どもを車から助けたりして意外な優しさを見せ、偶然それを目撃したヒロインが「どきん」とときめいたりして、相手を見直すわけですが。現実はそううまくはいかなかったりして。
このエントリーのトラックバックURL: