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2006年6月30日

いじめられっ子問題・追記

先日のわたしの記事が元ネタに→id:muffdivingさんが言及→徳保さんがそれに対して言及、という形で波及してます。(徳保さん懐かしいなあ)
直接言及された訳じゃないんだけど、ひっかかるところがあったのでちょっと反応してみる。


いじめは他人の犯罪ではない

「先日、秋田県で近所の小学生を殺害した畠山鈴香さんには高校時代より反社会的な性向があり、それがイジメにつながった可能性がある」という碓井さんの説明を「イジメを助長しかねない」と非難するのは、自らの罪から目を逸らすことにもつながりかねないことに気付くべきだ。ある行為をイジメと断定した途端に「被害者の無謬性」を仮定し、加害者の一方的な断罪を行う非現実的思考法は、自分が行う「理由ある攻撃」を「これはイジメではない」と免罪する心へと通じている。


ソースの碓井教授の発言は、明らかに「犯罪者である畠山容疑者」の例を持ってして、「元から反社会的だったから同級生に嗅ぎつけられていじめられていたのだ」と印象づけるコメントだった。「事件を起こした少年などの卒業文集を分析している」という氏のふれこみからもそれは明白で、いじめられっ子と反社会性、反社会性と犯罪者的資質を結びつける意図のある(悪質とも言える)報道内容である。
それに加えて、「いじめ行為の反社会性に関してはノータッチ」という不公平さが、「いじめは異端者に対する(社会性のある人間の)正しい反応だった」と位置づけられていると見える。muffdivingさんはどうかわからないけども、わたしはそのあたりにもっとも違和感を感じた。


この碓井氏のコメントが、「犯罪者」「元いじめらっれっ子」という軸で語られたものだ、という事を忘れてはならない。徳保さんは、(加害者を非難するのは)自らの罪から目を逸らすこととか加害者の一方的な断罪などと一般化しているが、どうも論点がずれているとしか思えない。
碓井氏が「いじめられっ子→反社会性→犯罪者」メソッドで何か語りたいなら、相当数のサンプルを集め、元いじめられっ子が成人後に事件を起こす確率を割り出すか、いじめられたから歪んだのではなく、元から反社会的な人格障害者だったからいじめられたのだ、という根拠を明示してからにすべきだろう。
専門家として発言しているのに、せいぜい数人のサンプルから印象論的に断言しているのだとしたらお粗末としか言いようがなく、それこそ「いじめ加害者の無謬性」を印象づけるだけの無根拠かつ有害なコメントである。(素人ブロガーじゃあるまいし)


犯罪に関係なく「いじめ」の定義を論じるとか、いじめ一般の問題(被害者・加害者の関係性)に敷衍するとか、「善人も悪人もいない。ただそこにいじめがあるだけだ」と相対化したいのだとすれば、それはまた別の話である。
しかし、そうだとしても、ある行為をイジメと断定した途端に「被害者の無謬性」を仮定し、加害者の一方的な断罪を行う思考法という徳保さんの言説には賛同しかねる。
コメント欄でイツカさんも書いているとおり、いじめの被害者にいつも全く問題がないとは言えないし、わたしやあなたに問題があるように、いじめられっ子にも当然問題はあるのだろう。
だけどそれが即ち「反社会性」であり、人格障害の一端であるとする碓井氏の説には納得がいかないということ。いじめられていない子にも、いじめっ子にも、同じ問題の芽はあるはずなのに、「いじめられているから」という理由でいじめられっ子の問題点ばかりがクローズアップされ、こいつは病気で異端者だと語られるとすれば、やはりおかしな話に違いないからだ。
そういうことが問題だという視点が全くないあの報道にも、碓井教授自身にも、わたしは不信感しか感じなかった。


というわけで徳保さんとわたしは問題としている点が違うんだなと思いました。


このエントリの関連記事:1件
  • いじめられっ子は反社会的? (2006年06月27日)


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    投稿者 : ナツ at 2006/06/30 | カテゴリー : 心理
    コメント

    投稿者 : 鳩子 at 2006年7月 1日 22:38

    徳保さんの仰ることはよく分かるんですよね。とゆーか、徳穂さんの記事自体には共感もできます。
    ただ、まぁ、ナツさんの記事とは全然絡んでいないですね。論点が違うので。言及という形ではなくて、単独で書かれていれば良いのになぁ…。

    徳保さんはこの「強い口調で書かれた文章がある→反応」のパターンが多い方なのは有名なので、仕方ないんでしょうけど。ご本人も自覚はあるのでしょうけど、絡まない方が面白い文章を書かれますよね。もったいなぃ…。


    投稿者 : くりりん at 2006年7月 2日 10:16

    言葉の意味の捉え方が恣意的に感じられました。
    >いじめられっ子と反社会性、反社会性と犯罪者的資質を結びつける意図のある(悪質とも言える)報道内容である。

    私が読んだのは、リンク先にあった
    http://www.n-seiryo.ac.jp/~usui/news2/2006/akita_muder3.html
    の記事なので、「報道内容」とは違っているかもしれません。
    もしも違う記事だったのならば、ここから下は単なる「言いがかり」になるので、先にお詫びをさせて頂きます。

    この記事では、犯人には「反社会的人格障害」的傾向が見られるとした上で、そういった性格傾向がある人はいじめられ易いと言う事を書いていると受け止めました。
    だけども、こちらで書かれているように、

    >いじめられっ子→反社会性→犯罪者

    といったラベリングがなされたとは思えませんでした。
    また、「反社会的人格障害」は犯罪者に多く見られる幾つかの性格傾向から(ある意味)便宜的に使われる名前でもあるので、犯罪者に「反社会的人格障害」が多いのは、当たり前だと思います。

    私は、「反社会的人格障害だから犯罪者になった」とするのは結果論で意味がないとは思いますが、「反社会的人格傾向」と呼べるものがあるのならば、それへの対処法を考えるのは意味のあることだと思っています。
    件の記事に悪意のあるラベリングを感じなかった私としましては、こちらの記事は、誤読による過剰反応ではないのか、との印象を受けました。


    投稿者 : ナツ at 2006年7月 3日 23:06

    ●鳩子さん
    >ナツさんの記事とは全然絡んでいないですね。論点が違うので。言及という形ではなくて、単独で書かれていれば良いのになぁ…。

    そーなんですよ。論点違うし、muffdivingさんへの言及だからわたしが反応するのもどうかと思ったんだけど、引っかかったのでツッコミ入れてしまった。そしたらまたもや議論の方向がデジャブな展開に・・・。この道はいつか来た道〜♪ああそうだよ〜被害者を責める責めない〜♪ 思わず歌ってしまいました。
    まあ、徳保さんは、ぶっちゃけmuffdivingさんを釣りたかっただけであって、わたしが引っかかったのは想定外だと思うですよ。だって、わたしと議論しても平行線だからつまんないのわかってますもんね。

    ●くりりんさん
    >犯罪者に「反社会的人格障害」が多いのは、当たり前だと思います。

    その、(犯罪者だから)「当たり前である」という先入観をもってして、碓井氏は容疑者を「高校時代から人格障害であった」と決め付けているわけです。
    しかしそういうことは、医師が直接診断しない限り正確な判断を下せないんじゃないでしょうか。
    わたしもネットの人格障害の説明サイトを見て、有名な犯罪者の性向と照らし合わせ、「この人は○○性人格障害かも」などと書くこともあります。
    ですが、専門家がその程度の意識で、面接したこともない容疑者について、卒業文集やワイドショーレベルの噂話だけで、「昔から容疑者は反社会的だったからいじめられていた」と発言することは問題だと思います。
    学校内の「いじめ」という複雑な問題と結びついている限り、報道は慎重にされるべきであり、この場合の「人格障害」というレッテル貼りは「いじめられる側に問題がある」という偏見を助長するだけで無意味と考えますが。

    >件の記事に悪意のあるラベリングを感じなかった私としましては、
    >こちらの記事は、誤読による過剰反応ではないのか、との印象を受けました。

    受け止め方は人それぞれだと思うので、過剰反応と感じた人もいるのか・・・、と思いました。
    念のため言っておきますが、碓井氏に悪意があるとはわたしも思っておりません。大衆向けに単純化した決め付けが、印象論的報道に繋がったのが結果的に悪質だったと言っているわけです。
    あとはエントリの方で続きを書いておりますので、よければお読み下さい。



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    Tracked on 2006年6月30日 14:22

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    Tracked on 2006年11月 7日 23:17