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2006年12月 8日

それってポストモダンなの?

前のエントリのコメントにレスを付けていたら長くなったのでこっちに書きます。

furukatsuさんwrote:
最終的な局面はどうなるか、という問題提起をされているわけですが、これについては、正直言ってしまえば、まだはっきりとしたビジョンはありません。残念ながら、概念の霞に指をかすめた程度にしか私は至っていないのです。これは、恋愛至上主義に反旗を翻しながらも、恋愛至上主義に精神がどっぷりと浸かってしまっている以上、仕方ないと言えるでしょう。
とりあえず、現状の考えで、最終的局面は恋愛の否定・コミュニケーションの否定にあるように見えます。恋人も諸詮他人だ、というレベルに落とし込んでからの議論になる気がします。つまり、恋愛のフィクション性を引き剥がしていくところにあるわけです。
まぁ、ともかくこれは理論的には近代批判ですから、恐らく、ポスト・モダンの理論を使っていく形になると思います。


そして、とりあえず現状打破的に闘争していくというのが暫定方針になります。

なんか早くも恋愛至上主義に対する敗北宣言に見えるんですけど気のせいですか? リベラル思想の敗北にも思える。


ポストモダンについては詳しくないですけど、例えば東浩紀氏は、「ポストモダンにおける恋愛・性関係は、性の自己決定を重視する方向に流れている」と述べていますね。
近代においてもいまだ異端視されている同性愛などは、「自己決定能力のある大人同士ならば自由である」とするかわり、自己決定能力のない児童への性行為は、「搾取」として断罪される構造になった、と。
非モテは「恋愛関係を否定」し、誰とも情緒的な性関係を結ばない生き方を目指しているので、最終的にはAセクシャル(*1)的なスタンスに落ち着くのだろうと思います。
そしてもちろん、こういう「性のありかた」も「自己決定」されている以上は自由であるというのが、ポストモダン的考え方であると思います。
また、この自由を抑圧するような価値観があれば、それと闘うことが非モテの立場を守ることにつながります。


問題は、furukatsuさんは「恋愛関係の否定」を自分のみならず全体に敷衍していこうと考えている(のですよね?)ことで、そうなると、ポストモダンの流れとは相反するものになると思いますが。
恋愛は幻想だと知りつつ酔っている者が大半であり、恋愛の真っ最中にはリアルか幻想かなどまるで重要でなくなることは、恋愛した者なら誰でも知っていることです。
だから、非モテが外側から、恋愛のまっただ中にいる人々に向かって「恋愛は幻想だ」と喚いたところで何の意味もない。
やるならば、「恋愛などすべきではない。セックスでコミュニケーションなんてもってのほか。遺伝子を守り家系をつなぐ以外の手段にセックスを利用してはならない」という規定にまで至らないと意味はないです。
そして、そうなってしまえばそれはポストモダンではなく保守だと思います。御自分でも気づいているようですが。


わたしはバックラッシャーにはうんざりしているので、それとは異なる非モテの価値観があるならば見たい、被害者とか弱者とか言ってないで新しい局面にシフトしてくれないかなあと思って横からツッコミ入れてるわけですけど、結局そこに落とし込まれてしまうんでしょうか。
それではあまりにもつまらないです。ループだし。
つまらないだけでなく自分の首をも絞めていると思うんですが。


● 12月11日追記:
はてなブックマークで言及されていたのを見つけた。

kusamisusa 非モテ, 思想 思想としてのポストモダンと時代としてのポストモダンが混ざってるぞ。/幻想を剥ぎ取って真実を見極める、というのはすぐれて近代的な考え方だと思いますが

?近代の行詰りを克服しようとするポストモダンの動きの中で、性関係や恋愛という限定された問題においては、こういう思想(性の自己決定)が重視されてますよ、という話ですが。東浩紀氏曰くですけど。
あと、この「自己決定」の流れで語ると、幻想を見るのも幻想から覚めるのも結局のところ自己決定による各自の自由ではないか、というのがポストモダン的発想なわけです。「真実はひとつ」と思い込むことこそ前近代的であり、その独善や押し付けが宗教戦争などを泥沼化させた原因でもあります。


非モテに恋愛至上主義を「真実の愛」と押しつけることが独善ならば、恋愛している人々に、「恋愛は幻想だからコミュニケーションとしてのセックスなど邪道」と押しつけることも、また独善。
ポストモダンでは、多様な性のありかたを、「自己決定されている以上は自由」と尊重し、たったひとつの性関係しか「真実」と認めないような保守的思想を批判している。
だからこそ、非モテにとってもこの自由を守ることが、自分の生き方を社会に承認させることにつながるわけです。
それを逆に「真実はひとつ」と保守先鋭化するのは時代への逆行であり、自分の首を絞める愚行でしかないってことです。


*1: 男性・女性のどちらをも性愛の対象としない人、男性・女性のどちらも性的欲求の対象としないことをさす。ただし思春期またはそれ以前のこどもの場合、性的指向がなくても「Aセクシュアル」とは言わない。(性的指向がはっきりしないという意味でノンセクシャルと呼ばれたりする)
〜Wikipediaより



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投稿者 : ナツ at 2006/12/08 | カテゴリー : ジェンダー
コメント

投稿者 : furukatsu at 2006年12月 9日 02:48

まー、正直、おっしゃる通りの矛盾があります。

とりあえず、近代批判としてポストモダンな考えを用いるというテクニックが使えるんじゃないかなぁ? 程度に考えていました。
いや、正直、私はポストモダンの思想がまったくわからないんで、そんな気がする程度の話しなんですが。

まぁ、一種スターリニズム的な方法論がいまのところの私の回答になってしまいますが、なんか微妙に違和感があるので、もっと勉強してからこのへんは結論づけたいですね。
「王様は裸だ」と言っても聞いてもらえない、ってのは重要な問題で、結局、そこの解決は今のところ暴力しか思いつかないのですよ。


投稿者 : furukatsu at 2006年12月11日 04:25

うーん、よくよく考えてみると、恋愛を否定するという部分に関して、恋愛を脱構築するとかでポストモダンな部分を援用しようとしているのかな。
いや、ポストモダンは良くわからないんですが。

でも、恋愛を相対化しても誰も聞いてくれないから、近代的にこれが唯一の真実じゃ!! と言って殴り飛ばして言うこときかせるってアプローチになるんですかね。

物凄いアクロバティックですが…


投稿者 : lablues at 2006年12月12日 17:25

 はじめて書き込みます。ナツさんのバックラッシュに対する嫌悪に共感することしきりで、楽しく読ませてもらっています。

 それにしても、

 私は単なる傍観者なわけですが、この手の議論が繰り返されるたび、とくに抱いてもいなかったいわゆる非モテな人に対する冷たい憎悪というか、悪感情がどんどん育ってしまって、困ります。

 furukatsuさんはポストモダンって言葉を使ってみたかっただけという事でいいんでしょうか? 「まったくわからないが、そんな気がする」って、すごすぎます。いったいなんなんだこの人は。

 なんか非モテの人ってこんなんばっかりだな。不特定多数の人にあえて不快な思いをさせるんだから、それに足るだけの中身は用意してから噛み付いたほうがいいんじゃないですかね。ていうか、やっぱりネタなのかこれは。非・非モテスパイによるネガティブキャンペーンなのか。

 それにしても、このエントリにあるように(これは嫌味でもなんでもないんですが)、恋愛出来ない人が「恋愛は幻想である」と決めつけていいもんですかね? 「王様がじつは裸だ」という事を、なぜ王様を見たことも無いその人が知っているんだろう。どれだけの説得材料をその人は用意できるんでしょうか。

 「あなたは恵まれている。その事自体が罪だ」という論調もなあ、その相手が本当の善人であったときに初めて成立する攻撃であって、相手に「ああ、おかげさまでアンタより恵まれてるよ。だからどうした」と返されたら、もう手も足も出せなくなるんじゃないですかね? 傷つけるべきでない人しか傷つけられない主張ではなかろうか。

 やっぱネタなのかなあ。でもネタだとしても、いきなり後ろから石投げられて人格まで否定されて罪悪感を押しつけられて嫌な思いをした個人が発生してしまっているわけですからね。いわれなき暴力です。単純にひどいと思います。非難されるべきと思います。

 私が書いたことなんて他の誰かによって過去に何十回でも言い尽くされていると思いますが、書き込んでみました。


投稿者 : natunohi69 at 2006年12月12日 19:05

すみません。バーチャルな世界で「不快な思いをさせる」ということが罪になる時代なんでしょうか?
リアルな世界で人々がどんどん殺し合いをしているのに、バーチャルな世界で人に「不快な思いをさせる」のがそんなに悪いことなのでしょうか?
リアルな世界の不愉快なことが、バーチャルな世界では愉快なことになって。そこまでは理解できるのですが、その時にバーチャルな世界の方が、「無条件に大事なことになる」その仕組みがよくわかりません。
最近、森薫の「シャーリー」の反動的側面を批判したら、ボロボロにやられました。マンガとして良ければ、ビクトリア朝ロンドンの現実は全く無視していいのかよ、と思いました。


投稿者 : ナツ at 2006年12月13日 01:02

●furukatsuさん
>恋愛を相対化しても誰も聞いてくれないから、近代的にこれが唯一の真実じゃ!! 
>と言って殴り飛ばして言うこときかせるってアプローチになるんですかね。

前述のように、全然ポストモダンじゃないですね。保守ですね(笑)
そしてバックラッシュの形を取ってアプローチされる限り、わたしは「非モテ革命」とやらに強い反発を覚えますし、各方面から風当たりが強くなることは覚悟された方がいいかと。そうなるとますます誰も聞いてくれなくなって得策ではないのでは? 
ルサンチマンをためこんだごく少数の人には熱烈支持を受けるでしょうが、それが望みなんでしょうか。
furukatsuさんも保守的非モテというか喪男?との共闘を示唆しているわけで、これから本格的にリベラル姿勢を捨てて右傾化する可能性が高いなあと思って見ているのですが。

非モテが「価値観は多様であっていいはず。君らの価値観を承認するから、非モテ(少数派)の価値観も承認してくれ」という方向性で闘争するのなら、わたしはこれに共感し賛同します。仮にもリベラルを名乗るならこうあるべきでは。(これも大きな意味での相互承認ですよね)
が、一部過激派のような道を辿るのであればもう話す余地はないなーと。
何か小林よしのりを思い出しました。あの人も最初はリベラルで売り出したはずなんだよな・・・。

●labluesさん
>ていうか、やっぱりネタなのかこれは。非・非モテスパイによるネガティブキャンペーンなのか。

わたしも読めば読むほどそうとしか思えなくて困ってます。被害者とか弱者とか言ってるから、また怨念の強い非モテが全世界に謝罪と賠償を求めてるのか〜わたしも謝らないと糾弾されるわけか、とうんざりしていたんですが、あっさり前言を撤回してるんだもんなあ。

>でもネタだとしても、いきなり後ろから石投げられて人格まで否定されて罪悪感を押しつけられて
>嫌な思いをした個人が発生してしまっているわけですからね。いわれなき暴力です。

そうですね。でも、前にも書いたんですけど、世界の中で自分を「絶対的被害者」として規定してしまってる人は、その暴力の罪悪に気づかないんですよ。「俺の方が今まで何倍も傷ついてきた」ということが常に免罪符になり、何を言っても加害者の立場には絶対に立たないんです。弱者やり放題。
誰がどれだけ恵まれてるかなんて、「金」ではなく「愛情」で量るんだとしたら、誰にも実態はわからないと思うんですけども。
ネタならネタでなおさら悪趣味というところは同意。

●natunohi69さん
>リアルな世界の不愉快なことが、バーチャルな世界では愉快なことになって。
>そこまでは理解できるのですが、その時にバーチャルな世界の方が、「無条件に大事なことになる」その仕組みがよくわかりません。

???すみません、何をおっしゃっているのか今ひとつピンと来ません。
このエントリへのコメントと言うことは、エントリ内容に関係しているんでしょうけど、「バーチャル」とは何を指しているのでしょう?ネットでの議論のことかな?
natunohi69さんは実際に学生運動の闘士だったわけですが、その立場から、「非モテ革命」を唱えるfurukatsuさんのような運動家を(ネタにしても)どう思われるかお訊きしたいところです。
焦点は安保条約ではなくて「恋愛」というところがまさに現代的ですが(笑)


投稿者 : furukatsu at 2006年12月13日 04:23

>>lablues at さん
いや、まぁ、近代批判としてウェーバーやマルクスってのが近代の最終局面から近代批判をしたわけですけど(ここまでは私の脳でも理解出来る)、しかし、一義的に内面の問題である恋愛については、これをこのまま適用するのは難しい。だから(よくわからないけど)ポスト・モダン的な議論なら解決策があるかもしれないかな、と思ったわけです。うーん、勉強不足ですいません。

あと、恋愛のフィクション性については、単純なコミュニケーションの不可能性から導く事ができるでしょう。

「あなたは恵まれている。その事自体が罪だ」という問題については、マルクス的な議論と方法論を用いる限りは避けえないと思います。階級闘争という形に落とし込む限り(またそれはスクールカースト、恋愛カーストの理論から導かれる)、そのような結論は避けえません。

あと、背後から石をなげつけるのはイヤな行為ですし、やりたくはないですが、我々はそうせざるをえません。

>>ナツさん
バックラッシュなんですかね?
私は女性差別はよくないと思いますし、またそうしているのですが。一部喪男の女は云々という言説は理解しません。
で、仕方ないから、男も女もモノ扱いするという方法でアプローチするわけなのですが。

価値観の多様性については、たしかにそれは正義です。しかしながら、その自由はマジョリティにとっての自由であり、マイノリティは差別されます。もちろん、今までさまざまなマイノリティが権利獲得のためのムーブメントを起してきましたし成果もあげましたが、やっぱりそれは攻撃的な部分が存在しました。マルコムXなんかは典型例ですね。
強大なマジョリティに、そしてマジョリティの正義に対抗するには、ラディカルかつエキセントリックに対抗言説を築いて、物理的に戦っていく必要性があるでしょう。そうしなければ、圧殺されます。
奴等に承認する気がないなら「承認させる」しかないわけなんです。


投稿者 : natunohi69 at 2006年12月14日 06:19

ナツさま
ご質問にぜひ回答させていただきたく存じますが、諸々の事情により、少々お時間をいただきたく存じます。
勝手ながら

natunohi69拝


投稿者 : イカフライ at 2006年12月14日 12:19

>furukatsuさん

 ネタと思いつつ、マジレスしてしまうのですが、一体、誰に、何を、承認させたいのかな?
「恋愛はフィクションだ」
 なんてことは、今更のような気もします、恋愛に限らず、人と人との行為や信頼なんて多かれ少なかれフィクションでしょう。問題はそのフィクションにどれだけ価値を置いているか?じゃないですかねえ。
 例えば、私達夫婦は子供がいません。今の時代、よほどの名家でもなければ、跡取りの必要もないし、老後は子供よりお金のほうが頼りになるし、必要性だけで言えば、子供はいなくったって構わないわけです。にも関わらず、子供がいないことは不幸だ、というフィクションはまだまだ幅を利かせていますね。それで傷つく人もいます。けれど、そういう傷つく人達の原因は、社会の価値観なんでしょうか?己の内包する価値観なんでしょうか?私は後者のほうが大きいように思うんです。
 例えば私達夫婦は子供がいないことが不幸には感じないし、別に今更欲しいとも思わないし、大体、二人きりの生活に慣れきっているし、もともと子供ってあまり好きじゃないし、等々の理由によって子供のいないことはなんら不幸に感じないんですわ。

 ま、何をいいたいかと言うと、革命だというのなら、まず、自分の内面を革命しないといけないんじゃないかなあ?と。


投稿者 : ナツ at 2006年12月15日 01:06

●furukatsuさん
>で、仕方ないから、男も女もモノ扱いするという方法でアプローチするわけなのですが。

MK2さんも言うように、そうなると「自分もモノ」という結論に達しますね。男も女も非モテもみんなただのモノであって、大した価値はない。恋愛は幻想でありフィクション。それはただの個人的厭世観であって社会構造を変えるほどの力はないです。ましてや「自分も他人もモノ」と主張する人の痛みなど、どうやって分かち合えると言うんですか。

>あと、背後から石をなげつけるのはイヤな行為ですし、やりたくはないですが、我々はそうせざるをえません。

これぞ「絶対的被害者の弱者特権」ですね。自分が勝手に「強者(モテ)」認定した相手を見境無しに攻撃して居直るのは、しぎこさんもおっしゃってましたが「お前らにそうさせられているから仕方がない」という責任放棄です。
そして自分が与えた痛みには無頓着なのに一方で、「非モテはこれほど苦しんでいる」と他者に共感を求める。他人の反感を買うだけで効果はないと思います。

>強大なマジョリティに、そしてマジョリティの正義に対抗するには、ラディカルかつ
>エキセントリックに対抗言説を築いて、物理的に戦っていく必要性があるでしょう。そうしなければ、圧殺されます。

だから戦いに用いる武器(言説)が問題だということです。「真実はひとつ」という保守言説を武器にするならば、それは保守でしょ。他の生き方を認めないのだから。
わたしは非モテはむしろゲイリブなどと共闘した方がいいような気がしてます。どうしても(ガチで)社会問題にしたいなら、性的少数者として足元を固めることをおすすめします。
ただしその前に、「恋愛を否定しつつ恋愛して女性に承認して欲しいという期待を捨てきれない」という自己矛盾をどうにかしなければ、ただのモテない男性のやけっぱちネタと笑われて終わると思いますが。「誰とも恋愛関係を結ばないで一生孤独に生きるのこそが非モテの幸福」という建前を本音にしなければならないってことです。


投稿者 : ナツ at 2006年12月15日 01:31

●natunohi69さん
>諸々の事情により、少々お時間をいただきたく存じます。

はい。お暇なときで結構です。(笑)



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